在宅派遣とは
在宅派遣とは、自宅など就業先以外で働く派遣の働き方です。テレワークの普及にともなう新しい働き方として注目を集めています。これまでに培ってきたスキルを活かしつつ、在宅でできる仕事を派遣社員という雇用形態で行うことで、通勤をともなわないことから派遣先の選択肢が広がったり、Wワークを実現するなど、多様なライフスタイルを実現できるのがが大きなメリットです。
また、在宅派遣という働き方の選択によって、ライフイベントの変化などで仕事に就きにくい状況にある人が働きやすい環境が整う可能性があります。さらに、これまでに得た仕事上の経験値や高い専門性を活かせる仕事が見つかる可能性が高まるなど、会社にとってのメリットも大きな働き方だといえるでしょう。
実際、都市部の大手企業や成長企業などを中心に、在宅勤務をできる派遣求人が増加の兆しを見せています。コロナ禍以前と比較すると、派遣社員の在宅率も上昇しました。日本経済新聞も「在宅派遣に特化したサービスの需要増加に応えるかたちで、各派遣会社が在宅派遣を推進し始めている」と伝えています。
在宅派遣の特徴
在宅派遣にはどのような特徴があるのでしょうか。ここでは、在宅派遣の特徴を挙げ解説します。
インターネットを活用して業務にあたる
在宅派遣はインターネットを使うことが前提です。インターネットを介した、コミュニケーションツールなどを活用することで、在宅の状態で就業先企業からの指示を受けることが可能になり、業務を遂行できます。
インターネットを介した働き方としては、自宅で働く在宅勤務のことをテレワーク、リモートワークなどといいます。また、移動中やカフェなどいつでもどこでも働くことができる働き方をモバイルワークといいます。いずれも場所にとらわれない働き方であるという意味ではよく似通っています。
職種は多岐にわたる
在宅派遣の職種は多岐にわたります。経理や人事、総務、広報といった事務職全般に加えて、カスタマーサポートやITエンジニア、デザイナー、オペレーター、営業や営業支援、マーケティング関連業務、語学力を活かしたものなど、非常に多種多様な職種で在宅派遣が行われています。
こうしたさまざまな職種のなかで、在宅派遣の求人数が特に多いのはIT系、事務系業務で、カスタマーサポートに関しても多くの会社が求人を募集しています。
勤務時間等の条件もさまざま
在宅派遣における業務内容や就業条件は、会社によってさまざまです。フルタイムから時短、週数日程度の勤務もあったりとさまざまな条件の求人があります。
また、これまで、派遣の時給は勤務地によってかなりの差がありましたが、在宅派遣の場合は、派遣先企業のある地域にあわせた条件が提示されます。また在宅派遣なら、ライフステージの変化や居住地によって左右されることなく仕事を探せます。
自宅の近くで求人がない、スキルを活かしたいといった悩みの解決策としても非常に有効な働き方といえます。
在宅派遣の仕事に就くには
在宅派遣の仕事に就きたい人は、通勤をともなわない仕事の紹介を派遣会社に願い出る必要があります。在宅派遣の雇用に関する流れは、基本的に一般的な派遣就業と変わりません。初めに派遣会社に登録し、登録した派遣会社から在宅勤務が可能な仕事を紹介してもらいます。派遣先企業が決定したところで派遣会社と契約書を取り交わし、就業開始となります。
在宅派遣においても、雇用主はあくまで派遣会社であり、福利厚生や給与を支払うのも派遣会社です。
在宅派遣に必要なスキルと自宅の環境
在宅派遣の仕事に就くにあたって必要とされるスキル、自宅で整えておくべき環境などについて解説します。
必要なスキル
在宅派遣に求められるのは、パソコンを通じてコミュニケーションを図れる能力です。そのためにも、パソコンスキルやコミュニケーションスキルが必要になりますし、コミュニケーションツールなどの利用経験も問われるでしょう。
また、業務上の情報漏洩がないよう、パソコンや携帯電話等を紛失しないように細心の注意を払う、セキュリティ対策をしっかり行うといった自己管理に努めることも重要です。
必要な自宅の環境
インターネット接続されているパソコンを利用して在宅派遣を行ううえで、必要な自宅の環境は、セキュリティ対策がしっかりなされたインターネット環境が整っていることです。さらに、落ち着いて仕事ができる環境があることも大切です。
業務に用いるパソコンは、貸与される場合があるため、契約前に確認しておきましょう。
在宅派遣の平均時給
在宅派遣の平均時給は、通勤をともなう一般的な派遣とほとんど変わらないケースが多数です。先にも述べましたが、派遣先企業のある地域の相場や、それぞれの業務内容に応じて時給額が決定します。
会社が集中している東京23区内の派遣の平均時給(職種の指定なし)は1,863円で、事務、オフィス系で見た場合には1,683円、IT・エンジニア系では2,245円となっています。自宅周辺の平均時給が低い場合などは、在宅派遣として働くことで、給与面でのメリットを得られるでしょう。
※参考:関東の求人情報 派遣のお仕事探しならリクナビ派遣(2020年11月時点)
在宅派遣に関連する国の取り組み
在宅派遣に関する国の取り組みとしては、厚生労働省から会社向けに、テレワークを活用した派遣労働者の働き方の指針が出されています。さらに、派遣先企業へのQ&Aを作成し、その周知を図ることで、適切なテレワークの実施を促進してきました。また、派遣先企業が派遣社員の労働時間などを正確に把握するための留意点なども挙げられています。