一般事務や経理の仕事につく際、実務に役立つ資格があると有利です。すでに仕事についている方も、資格をとることで自分のスキルアップや、業務の効率化、職場での評価につながります。しかしいざ勉強しようとすると、種類が多く迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
この記事では、数ある事務系資格の中から、とくに実用的でおすすめの資格を6つに厳選しランキング形式で紹介します。それぞれの資格について、難易度や勉強期間、勉強方法までくわしく解説しますので、ぜひ効率よくスキルアップするために役立ててください。
目次
おすすめ第1位 MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)
MOS資格とは
MOS資格とは、Microsoft Officeの、Word・Excel・PowerPoint・Access・Outlookのスキルを証明してくれる資格です。MOS資格を取得しておけば、パソコンが使えるかどうかというあいまいな基準ではなく、明確に使えるスキルとしてアピールできます。
資格は、ソフトウェアごと、バージョンごとにわかれていて、WordとExcelはさらにスペシャリスト(一般)とエキスパート(上級)の2段階あります。特に業務での使用頻度が高いWord・Excel・PowerPointの資格をセットで取得すると大きな強みになるはずです。
また、MOS資格は実際の業務の場面での使用を想定した出題形式になっているため、取得のための勉強が、自然と業務のレベルアップに結びつくでしょう。
難易度
合格率が公表されていないため正確にはわかりませんが、Word・Excelのスペシャリストは一般レベルなので、普段からOfficeに触れて業務で利用している方なら比較的簡単に資格取得が可能といわれています。
勉強期間の目安
受験する科目、もともとのスキルにもよって変わってきますが、目安としては以下のとおりです。
Excelスペシャリストレベル(一般)
基本操作にも不安がある方 :約80時間
学校などで習ったことがある方 :約60時間
会社の業務で使ったことがある方:約40時間
普段から業務に利用している方 :約20時間以下
おすすめ勉強方法
ある程度、業務で使っている方でしたら、問題集で不足点をカバーするなどの対策をするだけで独学でも十分合格が狙えるでしょう。あまり自信がないという方はパソコン教室へ通って勉強すれば、実務に使える知識やスキルを身につけながら試験対策もできます。
また、MOS資格取得をサポートするスマートフォンアプリもあります。代表的なところでは、「一般対策 for MOS Excel2016」や「一般対策 for MOS Word2016」などです。
おすすめ第2位 日商PC 2級
日商PC資格とは
日商PC検定は、日本商工会議所および各地の商工会議所が実施する検定です。資格は以下の3分野にわかれています。
・文書作成・・・Wordを活用した文書の作成や取扱い能力が問われる
・データ活用・・・Excelを活用したグラフの作成やデータ分析の能力が問われる
・プレゼン資料作成・・・PowerPointを活用したプレゼン資料の作成能力が問われる
それぞれ1級〜3級があり、文書作成・データ活用は、3級の下にBasicという級が設定されています。どの分野でも、実務に役立てるなら2級以上が望ましいです。
難易度
試験科目は「知識」「実技」の2科目で、両方70%以上の正解で合格となります。「知識」の出題範囲は、3分野にまたがった共通のものも多いので、複数の取得を目指すと効率よく勉強できます。
日本商工会議所によると、平成29年度の2級合格率は3分野の平均で68.0%です。直近の科目ごとの合格率は公表されていませんが、過去年度のデータでは、文書作成が一番低く、プレゼン資料作成が一番高い合格率となっています。
勉強期間の目安
普段から業務でMicrosoft Officeのソフトに慣れている方ならテキストや問題集で勉強することで、合格は見込めるでしょう。この場合、勉強時間は1週間から2週間程度が必要です。
おすすめ勉強方法
それぞれの科目で公式のテキストと問題集が出版されています。「実技」は作業量が多いので、時間が足りなくなる場合があります。繰り返し問題集で対策し、時間内に解答できるように準備しましょう。また、「知識」の問題をクイズ形式で学習できる「日商PC検定アプリ」もあります。あわせて利用すると効果的です。
おすすめ第3位 日商簿記 2級
日商簿記資格とは
日商簿記は、年間約60万人もの人が受験している人気資格です。それだけ実践的で企業に求められているともいえます。営業活動の記録・計算・整理を行う経理の基本が詰まっています。簿記資格は複数ありますが、最も認知されている日商簿記の取得がおすすめです。
難易度
2級では、試験範囲に工業簿記がふくまれます。商業簿記の基本的な知識を問われる3級から、ぐっと難易度があがるでしょう。合格率は実施回によって大きく幅があり、おおむね20%前後です。決して簡単に取れる資格ではありませんが、その分取得すれば自分の武器になります。
勉強期間の目安
簿記3級の保有者やすでに知識のある方なら約200時間(3ヶ月から4ヶ月)程度の学習が目安になります。
おすすめ勉強方法
知名度が高く受験人数が多い資格だけに参考書なども多く出版されています。書店で実際に手にとって、自分が見やすいもの、わかりやすいものを選びましょう。また試験範囲が近年変更されているので、最新の参考書かどうかの確認も必要です。アプリも多く「パブロフ簿記」「TACスッキリわかる日商簿記」などがあり、すきま時間の勉強も取り組みやすいです。
おすすめ第4位 秘書検定 準1級
秘書検定資格とは
秘書検定は、「秘書」を目指す人のための資格と思われがちですが、「社会人としての一般常識やマナー」が身につき、人と接するすべての仕事において実際に活かせるスキルです。1級、準1級、2級、3級の4段階あり、準1級以上は面接試験があります。就職面接の練習のために受験する人も多いです。
難易度
準1級の直近の合格率はおよそ40%です。2級合格率は50%台くらいなので、2級にくらべ難易度が上がっているといえます。面接試験では、話す内容にくわえ、言葉遣いや立ち居振る舞いなどもチェックされるので、苦手意識のある方はとくに難しく感じるかもしれません。
勉強期間の目安
3か月から半年程度が目安となります。学科試験は、択一式と記述式が半分ずつです。文章を書くのが苦手な人、言葉遣いに自信がない人は勉強期間を長めに設定しましょう。
おすすめ勉強方法
記述式問題は、適切に表現できるかどうか繰り返し練習しましょう。面接試験対策は、実際に声を出して練習することが大切です。家族や友人に協力を頼み、試験官をイメージしてシミュレーションを行うと本番でのイメージをもちやすくなります。言葉遣いや立ち居振る舞いは、すぐには身につきません。普段の生活から気をつけるようにしましょう。
おすすめ第5位 文書情報管理士
文書情報管理士資格とは
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が認定する資格です。職場で使う文書や帳票、伝票、資料や図面などをコンピューター画面で閲覧できるようにスキャナでデータ化したり、マイクロフィルムを利用して書類を保存したりする技術と、規格に関する知識、関連する法律への知見をもっている証明になります。
試験は2級、1級、上級とわかれています。2級でも、基本的な知識をもっている証明になります。資格の有効期間は5年なので、忘れずに更新することが必要です。
難易度
2級から1級は試験範囲が同じで、難易度が上がります。合格率は2級と1級がそれぞれ70%前後、上級で40%前後と、資格取得の難易度はそれほど高くありません。
勉強期間の目安
2級であれば、1か月から3か月程度の勉強時間で合格が見込めるでしょう。
おすすめ勉強方法
資格を認定している公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会から提供されている公式のテキストで独学と、同団体が主催する受験対策セミナーへの参加がおもな対策になります。
おすすめ第6位 ITパスポート
ITパスポート資格とは
ITパスポート資格は、ITに関する正しい知識の理解と実務にITを有効活用できるスキルの保有を経済産業省が認定する国家資格です。「iパス(アイパス)」と呼ばれます。
ITパスポートが扱う分野は、AIやビッグデータなどの新しい技術や、セキュリティやネットワークなどのIT分野の知識に加え、経営戦略やマーケティングなどの経営全般の知識まで多岐にわたります。
難易度
ITパスポートの合格率は40%から50%ほどです。低く感じるかもしれませんが、「国家資格」としては、かなり取りやすいです。
勉強期間の目安
合格に要する勉強時間の目安は、普段からパソコンを業務などで使用している人でおよそ100時間程度です。
おすすめ勉強方法
ITパスポート試験用のテキストは多数出版されていますので、まずはテキストが主な学習方法になるでしょう。そのほか、公式のものではありませんが、スマートフォン用のアプリもあります。たとえば「全問解説付 ITパスポート 一問一答問題集」などは解説もついていて人気です。
経理事務に役立つ資格
ここでは、経理事務に役立つ資格を3つ紹介します。経理事務の仕事に就く際の参考にしてください。
ビジネス会計検定
企業の財務諸表に関する知識や分析力が問われる検定試験です。財務諸表の構成や作り方を知ることで、ビジネスに必要な会計や財務の知識を身につけることができます。ビジネス会計検定は1級~3級までがあり、級が上がるにつれて難易度も上がります。会計を知りたい方は、まず3級の合格を目指すとよいでしょう。
電子会計実務検定
会計ソフトや計算システムなど、デジタルでの会計実務の知識を問われる検定試験です。e-Taxに代表されるような、国税電子申告や納税システムは一般化しつつあります。このようなネット社会に対応した、電子会計の知識やスキルを身につけることができます。電子会計実務検定は1級~3級までがあり、いずれも簿記の理論と知識が問われます。
給与計算実務能力検定
給与計算業務における、知識や実務遂行力を測るための検定試験です。あらゆる業界や業種で求められる、給与計算の基本が身につきます。給与計算実務能力検定では、所得税や住民税といった税金や、社会保険など給与に関係する知識を学ぶことが可能です。2年毎に更新制度のある資格となっており、継続した学びが必要になるでしょう。
一般事務に役立つ資格
一般事務の仕事に役立てられる資格を3つ紹介します。一般事務の仕事に就く際の参考にしてください。
ビジネス文書検定
ビジネスマナーに即した文章作成の能力を問う検定試験です。企業や業界の専門知識や業界用語だけでなく、広く一般に通用するビジネス文書の基本を学ぶことができます。分かりやすく正しい文書を書き表せることは、一般事務の仕事をするうえでも役立つでしょう。
ビジネス・キャリア検定
ビジネスキャリア検定は、人事、労務管理、経理、財務管理、営業やマーケティング、その他法務、経営戦略など、8分野における43の試験が用意されています。それぞれの分野に特化した内容のため、自らの目指すキャリアの方向性にあった試験を選ぶようにしましょう。BASIC級から3級、2級、1級と進むごとに難易度が上がります。就業経験がある方は3級からの取得を目指すとよいでしょう。
TOEIC
英語を使用する職業の場合、TOEICのスコアは600点が1つの目安になるでしょう。また、外資系企業では、800点以上を目安にしていることもあります。英語の使用頻度や難易度によっても異なりますので、TOEICのスコアだけでなく、実務経験に重きを置かれることもあります。それでも、TOEICは英語力を測る1つの指標になります。
教育訓練給付金制度を利用する
ここまで、さまざまな資格を紹介してきましたが、資格取得のためには、教材の購入や講座の受講、資格試験の受験料など、なにかとお金がかかります。金銭的負担が大きいため躊躇している方もいるかもしれません。そんな方におすすめの制度が「教育訓練給付金制度」です。
教育訓練給付金制度は、キャリアアップのために受講した講座費用の一部が、ハローワークから支給される制度です。一定の条件を満たすと、講座費用の20%が10万円を上限とし支給されます。また2018年にこの制度が拡充され、より専門的な技術や資格を得る場合は、最高で費用の70%が年間56万円を上限に支給されます。
独学が苦手、できるだけ短期間で資格取得したいという方におすすめです。いずれも、受給するための条件や対象講座の指定がありハローワークへの申請が必要です。自分が対象となるのか、必ず確認してください。
※参考
政府広報オンライン 専門実践教育訓練給付金
厚生労働省 教育訓練給付制度
まとめ
一般事務や経理に有用な資格を6つに厳選して紹介しました。資格取得は就業のためだけではなく、自分自身のスキルアップのためにも大いに役立ちます。ぜひ資格取得を目指してみてください。
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