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派遣社員が加入すべき保険とは?
社会保険の概要から加入方法、条件まで解説

2018年3月1日
 

派遣 長期

社会保険とは、社会保障制度に基づいた保険制度のことです。派遣社員として働くことに興味がある、または派遣社員として働く予定があるものの、社会保険の詳細に関して把握していない方もいるでしょう。この記事では、派遣社員に適用される社会保険や、保険の詳細について解説します。派遣社員として働く際の参考にしてください。


目次


社会保険とは、日本の社会保障制度の1つで、国民の生活を守るために公的に設けられた保険制度です。健康保険・年金保険・介護保険・雇用保険・労災保険の総称となります。

社会保険の5つの種類

社会保険は、国民の安定した生活を保障することを目的とした法律による制度です。加入するかどうかを選べるものではなく、一定の条件を満たしている場合は、加入が義務づけられています。ここでは、5つの社会保険を簡単に解説します。

1.公的医療保険(健康保険)
病気やけが、出産、死亡などに備えるもので、治療にかかった費用の一部を負担してくれる制度です。企業の従業員などが加入する「健康保険」や自営業などの個人事業主が加入する「国民健康保険」などがあります。国民皆保険制度に基づいて国民全員が加入しなければなりません。
 
2.厚生年金保険
会社員や公務員が加入できる年金制度で、老後に支給される「老齢年金」、障害を負った際に支給される「障害年金」、死亡時に遺族が受け取れる「遺族年金」があります。
 
3.雇用保険
失業によって無収入になった場合、再就職までの期間を支える保険で、一般的には「失業保険」ともいわれています。
 
4.労働者災害補償保険
一般的には「労災保険」といわれている保険で、業務中や通勤中など、就業中の事故で病気やけが、死亡した際に給付されます。
 
5.介護保険
介護が必要な高齢者を支える保険で、40歳以上に対して加入が義務付けられています。

「健康保険」「国民健康保険」の違い

公的医療保険にはいくつか種類がありますが、そのなかに「健康保険」と「国民健康保険」があります。健康保険は主に会社員が対象で、保険料は企業(事業主)と従業員(被保険者)の双方で負担します。国民健康保険は主に自営業などの個人事業主が対象で、保険料は全額自己負担となります。パート・アルバイトの場合は、収入額によってどちらに加入するかが決まります。

厚生年金保険とは?

厚生年金保険とは、日本国内に住所のある会社員や公務員などが加入する、公的年金制度のことです。老齢年金や障害年金、遺族年金などの財源であり、国民年金と同額の基礎部分プラス、給与に比例した上乗せ金額が保険料となります。
 

国民年金との違い

国民年金は、日本国内に住所のある20歳から60歳の方に加入が義務づけられているもので、主に自営業など個人事業主(従業員4人以下)や無職の場合に加入します。厚生年金は厚生年金保険適用の企業に勤め、加入要件を満たす方が加入します。厚生年金は、国民年金の基礎部分プラスアルファの保険料を支払うため、支給される年金額も国民年金より上乗せされています。

雇用保険とは?

失業で収入が途絶えた際に国から一定額が支給されるなど、生活を支えるための保険です。雇用期間が31日以上あったり、週に20時間以上働く従業員を雇う企業は、正社員だけでなく派遣社員やパート、アルバイトでも加入させなければなりません。
 

労働者災害補償保険とは?

勤務中のケガや病気、通勤中の事故などの際に、治療にかかった費用を負担してくれる保険です。派遣社員、パート、アルバイトに問わず、従業員が1人でもいる企業は加入しなければなりません。また、保険料も企業負担となります。
 

介護保険とは?

介護保険とは、介護が必要な方を支える保険です。40歳以上は加入が義務づけられており、保険料は健康保険料と一緒に徴収されます。要介護認定を受けた場合は、介護保険により1割負担で介護サービスを受けることが可能です。

健康保険

健康保険の加入要件は2種類あり、詳細は次のとおりです。
 
【加入要件1】
・雇用契約期間が2ヵ月以上ある
・月の所定労働日数が15日以上ある
・1週間の所定労働時間が30時間以上もしくは一般社員の4分の3以上
 
【加入要件2(短時間労働者の場合)】
・1年以上の雇用見込みがある
・1ヵ月の給料が88,000円以上ある
・1週間の所定労働時間が20時間以上ある
・従業員数が501人以上(労使での合意がある場合は500人以下の企業も対象)の企業での勤務
 

介護保険

健康保険とともに徴収される介護保険ですが、40歳以上で、健康保険加入要件を満たす場合に加入。
 

厚生年金保険

加入要件は、所定労働時間および所定労働日数が一般社員の4分の3以上ある方です。また、所定労働日数が4分の3未満でも次を満たす場合に加入。
 
・雇用契約期間が1年以上ある
・週の所定労働時間が20時間以上ある
・1ヵ月の給料が一般社員のの4分の3以上ある
・従業員数が501人以上の企業で働いている
・学生ではない
 

雇用保険

雇用契約期間が31日以上あり、所定労働時間が週20時間以上になる場合は、企業は雇用保険へ加入させる義務があります。正社員や派遣社員、アルバイトなどの雇用形態にかかわるものではありません。
 

労災保険

労災保険は企業が加入する保険です。従業員が1人でもいる場合は、企業が保険料を負担して加入しなければなりません。そのため、正社員や派遣社員にかかわらず、すべての労働者が労災保険の加入対象者となります。

将来の年金が増える

社会保険で厚生年金に加入すると、国民年金と同額の基礎分にプラスして、給与によって算出される金額を支払うことになります。そのため、年金を受給する立場になった際に、国民年金を支払い続けたときよりも、受け取れる年金の額が増えることになります。また、障害厚生年金や遺族厚生年金もプラスされるため、障害年金や遺族年金も増えます。
 

保険料の一部を事業所が負担してくれる

厚生年金保険や健康保険に加入すると、保険料は自分と企業で折半になります。半分は企業が負担してくれるため、全額自分で支払わなければならない国民年金や国民健康保険などよりも負担が減るのがメリットです。また、労働者災害補償保険は保険料が全額企業負担となり、勤務中の事故や病気の際に安心できます。
 

業務外での疾病・妊娠・出産で休職したときに手当が受給できる

勤務とは関係なく病気になった、勤務時間外にけがをした、出産・育児で仕事を休まなければならなくなった、などの理由で一時的に仕事ができなくなることもあるでしょう。社会保険に加入していれば、万が一働けなくなった場合に傷病手当金や出産手当金などが受け取れます。最長1年6ヵ月の間、給料の3分の2程度が保障されるメリットもあります。


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