2022年9月30日

派遣社員として働けるのは最長で3年まで、という「人で3年ルール」を聞いたことがありませんか?このルールを知っているのと知らないのとでは、3年後のあなたのワークスタイルに大きな影響があります。初めて知ったという方、なんとなく知っていたけど、実はよくわからない.. という方へ「3年後はどうなるの?どうすべき?」などについて解説しています。この機会に理解を深めておきましょう!
目次
派遣法3年ルールとは
はじめに、労働者派遣法改正前は「ソフトウェア開発」、「秘書」、「事務用機器操作」などの「専門28業務」であれば、派遣期間の制限がなく、派遣先企業と派遣社員が希望すれば、同じ派遣先企業で同じ仕事を続けることが可能でした。一方で専門28業務に含まれない業務は「自由化業務」として、原則1年(最長で3年)の派遣期間の制限がありました。
2015年9月の労働者派遣法改正後は、「専門28業務」の期間制限がない仕組みが見直され、「業務」単位ではなく、すべての業務で働く派遣社員「個人」単位の期間制限ができました。この「個人単位」の期間制限は3年が限度のため、「人で3年ルール」といわれています。
労働者派遣法について
人で3年ルールのポイント
人で3年とは、「同じ派遣先企業の同じ組織(課・グループなど)で働くことができるのは3年まで」というルールのことです。 では、3年後はどうなるの?なども含めて、3年ルールのポイントを解説していきます。
3年後はどうなるの?
人で3年のルールですので、3年の期間制限がきたら「同じ派遣先企業の同じ組織」で派遣社員として働くことができなくなります。ただ、そこで終わり.. ではありません。「同じ派遣先企業の同じ組織」に3年以上就業することが見込まれていた時点で、派遣会社(派遣元)は、あなたの雇用を継続するための措置を検討するでしょう。
派遣先企業の社員を目指す
あなたが引き続き、同じ派遣先企業で働くことを希望する場合は、派遣会社から派遣先企業へ、あなたの直接雇用を依頼することが義務付けられています。ただし、これはあくまでも「派遣先企業へ依頼する」ことが派遣会社に義務付けられているだけで、派遣先企業は必ずあなたを雇用しなくてはならない、という意味ではありません。派遣期間制限の3年を迎えるまでに、派遣先企業のお仕事をしっかりやる、派遣先企業でのお仕事に役立つ資格を取得する、更なるスキルアップのために派遣会社の研修を受ける、などあなたも直接雇用を目指していることを派遣先企業に伝える姿勢が大切です。
派遣先企業への直接雇用以外の選択肢
派遣会社から派遣先企業へ、あなたの直接雇用を依頼しても、派遣先企業への直接雇用とならなかった場合、派遣会社は次のいずれかを必ず行います。
新たな派遣先企業をご紹介する
あなたの経験やスキルにもとづき、新たな派遣先企業をご紹介します。
派遣会社が「無期雇用派遣」として採用する
「無期雇用派遣」とは、派遣会社と期間を設けずに雇用契約を結ぶ働き方です。「無期雇用派遣」の場合、派遣先企業を選択することはできませんが、契約期間の制限なく、派遣先企業で働くことができます。また、派遣会社に採用された時点で、雇用契約が発生しますので、派遣先企業で働いていない期間であっても、派遣会社との雇用契約は継続され、給与や休業手当が支払われます。なかには、派遣会社の社内で働くケースもあります。
安定した雇用の継続を図るために必要な措置を行う
次の就業が決まるまで、派遣会社との雇用契約を継続したまま有給消化をしたり、派遣会社の福利厚生サービスを利用して、教育訓練を受けるなどです。
人で3年ルールには例外もある
「人で3年ルール」には例外があります。以下に該当する人は期間の制限がありません。
- 派遣会社に無期雇用されている人
- 60歳以上の人
上記に該当しない人であっても、次の業務であれば3年ルールに該当しません。
- 期限がはっきりしている有期プロジェクト
- 日数限定業務(1ヶ月の勤務日数が、通常の労働者の半分以下で10日以下であること)
- 産前産後休業、育児休業、介護休業等で休業している人の代わりに働く場合
3年以上働くには?
「人で3年ルール」は、同じ派遣先企業で3年ではなく、「同じ組織(課・グループなど)で3年」です。したがって、「組織(課・グループなど)」が変われば、同じ派遣先企業でさらに3年働くことができます。具体的には、A社(派遣先企業)の財務課で3年勤務したのち、同じくA社の人事課で3年勤務する.. という方法です。組織が変われば、引き続き同じ派遣先企業で働くことができます。
通算5年を超えたら別の選択肢もある
派遣会社との雇用期間が通算5年を超えた場合は、あなたが希望すれば、派遣会社で「無期雇用」に切り替えることもできます。前述のとおり、「無期雇用」に切り替えれば、3年ルールの例外に該当しますので、派遣期間の制限がなくなります。「無期雇用」に切り替えた場合は、「有期雇用」である一般的な派遣社員としての就業とは異なり、派遣先企業を選ぶことができなくなりますが、次の派遣先企業が決まらなくても、給料が支払われるなど、雇用は安定します。もちろん、「無期雇用」に切り替えるか切り替えないかは、あなたが自由に選ぶことができます。
※未経験から事務にチャレンジしたい方へ
事務系・無期雇用派遣(M-Shine)について
3年のカウントリセットとは
「人で3年ルール」に定められた抵触日には、就業しない空白の期間を設ければ、派遣期間のカウントをリセットすることができます。
空白の期間でリセットされるがオススメしない
派遣期間の抵触日を迎え、派遣先企業での派遣契約が終了したのち、空白の期間が「3ヶ月と1日以上」あれば、これまでの派遣期間のカウントがリセットされて、同じ派遣先企業の同じ組織で、再び3年を限度として働くことができます。この空白の期間を「クーリング期間」といいます。このクーリング期間を利用すれば、同じ職場で働き続けることができますが、その間の収入は不安定になりますし、同じ職場に戻れる保証はどこにもないため、この方法はオススメしません。
派遣会社を変えればリセットできる?
答えはNOです。「同一の派遣労働者」に対する3年ルールですので、派遣会社を変えても同じ人であれば通算されます。
まとめ
「人で3年ルール」は、同じ職場で3年を超えて働くことができませんが、派遣先企業で直接雇用となったり、派遣会社で無期雇用となったり、また、新たな派遣先企業で就業するなど、選択肢はさまざまです。大切なことは、3年の期間制限を迎える前に、あなた自身が3年間を経て、どのようなキャリアを選択をするのかを考えておくことです。派遣会社のスキルアップ研修やキャリアカウンセリングなども活用して、3年後の選択肢の幅を拡げましょう。