医療系の派遣の仕事とは
医療系の仕事にはさまざまな職種があり、派遣社員として働くことが可能です。派遣社員とは派遣会社と雇用契約を結び、職場となる医療機関を紹介してもらう雇用形態です。業務は勤務先の医療機関の指示にしたがって行いますが、給与は派遣会社から支払われます。なお、派遣社員として働くことのできない医療系の職種もあるため注意してください。
医療系の派遣の仕事内容
ここからは、医療系の派遣の仕事において、どのような職種があるか解説します。医療系の派遣には医療事務や病院受付などがあります。それぞれの詳しい仕事内容は以下を参考にしてください。
医療事務
医療事務は病院内の事務全般を担当する職種です。具体的な仕事内容は、窓口での受付・案内、会計、カルテ管理、レセプトコンピューターを使って行うレセプト業務などで、医療事務は患者と接する機会が多く、頻繁にコミュニケーションをとる職種です。未経験者の募集もあることから、医療系の仕事のなかでも人気の職種となっています。
幅広い雇用形態で募集されているため、自分のライフスタイルにあった働き方が選べる点も魅力です。
医療クラーク（医師事務作業補助者）
医療クラークは、医師や看護師の負担を軽減するために、書類作成などの事務作業の補助をする仕事です。医療クラークには外来クラークと病棟クラークがあり、外来クラークは外来診療の事務作業を担当します。具体的には外来患者についての文書作成やカルテの入力代行などの仕事です。
一方、病棟クラークは入院患者に関する事務作業を行います。場合により他科との情報伝達の仕事もこなします。
病院受付
病院受付は病院の顔として患者に対応します。診察券を預かったり、受診科に案内したりと、患者と接することが多い職種です。そのほか、初診の患者のカルテ作成や診察券の発行などの仕事も行います。患者が診療を終えたら、診療報酬点数や医療保険を加味しながら、医療費を計算して請求する業務もあります。なお、病院受付は医療事務の仕事の一部です。
そのほか
医療事務や病院受付のほかにも、医療系の派遣の仕事には以下があります。
・薬剤師
・看護師
・准看護師
・看護助手
・保健師
・管理栄養士
・臨床検査業務
・臨床開発業務
・研究開発業務
以上のように、有資格の医療系の仕事でも派遣社員として働くことが可能です。
医療系の派遣の仕事に就くには
医療系の派遣の仕事に就くには、求人を取り扱っている派遣会社に登録して医療系の仕事を紹介してもらうことから始めます。その後、派遣先となる医療機関との合意を経て、派遣会社と契約書をとり交わし、勤務がスタートします。なお、雇用主はあくまでも派遣会社であるため、給与の支払いや福利厚生は派遣会社から支払われます。
また、登録する派遣会社を選ぶ際は、優良派遣事業者認定制度で認定されているか確認しましょう。優良派遣事業者に認定されている派遣会社は、良質な労働環境の確保に努めており、安心して働くことができます。
医療系の派遣に必要なスキル・身につくスキル
医療系の派遣に必要なスキルや身につくスキルは、職種によりさまざまです。以下でその一例をご紹介します。
必要なスキル
医療事務では基本的なパソコンスキル、業務の正確性とスピード、コミュニケーションスキルなどが求められています。ほかにもレセプト業務に必要な診療や薬剤に関する知識も必要です。一方で、管理栄養士や看護師など、有資格者でなければ仕事に就くことができない職種もあります。その場合、それぞれの資格を取得していることが採用の条件となっています。
臨床開発業務ならば、医薬や薬学、臨床検査学を中心とした自然科学系の基礎知識が必要です。なお、外国人の患者の来院などから医療系の派遣では英語力があると就職に有利なことがあります。
身につくスキル
医療事務や医療クラーク、受付業務を通じて、事務のスキルやコミュニケーション能力などの対人スキルが身につきます。対人スキルでは、海外から来院した患者、体の不自由な患者、車椅子を使用している患者などさまざまな患者がいるため、臨機応変な対応力が身につくでしょう。
また、医療事務では、未経験者からでも挑戦することが可能な求人もあります。仕事を始めてから医療事務のスキルを身につけて、資格取得を目指すことができます。
医療系の派遣の平均時給
医療系の派遣の平均時給は職種により異なります。たとえば、医療事務や病院受付の派遣の平均時給は1,399円であり、ほかの事務職の派遣に比べて時給が少し低くなっています。そのほか、看護師や准看護師の平均時給は1,586円、薬剤師の平均時給は1,781円となります。
※参考：関東の求人情報 派遣のお仕事探しならリクナビ派遣（2020年11月時点）
医療系の仕事の有効求人倍率
有効求人倍率とは、ハローワークで仕事を探しているひとりの求職者に対して、何件の求人があるかを示す数値です。たとえば、求職者が10人いたときに求人数が20件あると、有効求人倍率は2.0倍となります。このように倍率が1を超えると、人材を探している会社が多いことを意味します。
注意点として、有効求人倍率の算出にはハローワーク以外の求人数や求職者数は含まれません。さらに、派遣社員だけではく、すべての雇用形態が算出の対象となることも念頭に入れておきましょう。
厚生労働省の職業安定業務統計による、令和2年9月分の一般職業紹介状況（パートを含む常用・全国）における、専門・技術的職業では、以下のように有効求人倍率が示されています。
・医師、薬剤師など 2.74倍
・保健師、助産師など 2.04倍
・医療技術者（レントゲン技師など） 2.43倍
・そのほかの保険医療の職業（栄養士など） 1.51倍
また、サービスの職業の有効求人倍率は次のとおりです。
・保健医療サービスの職業（看護助手、歯科助手など） 2.51倍
以上のように、医療業界は全体で慢性的な人材不足となっています。なお、事務職については、医療介護事務など単独の有効求人倍率をみることはできません。事務的職業の一般事務に分類されており、総務人事などの事務職と一緒に計算されています。有効求人倍率は0.22倍です。
詳細については、ハローワークインターネットサービス内の厚生労働省編職業分類（平成23年改定）をご確認ください。
医療に関連する人材確保の取り組み
前項の医療業界全体の有効求人倍率からもわかるとおり、医療業界は人手不足が問題となっています。そのため、人材登用を派遣社員に頼っている医療機関も多いです。2020年においては、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、医療関係者不足が深刻な状態です。その対策として、厚生労働省から各都道府県に対して、医療関係者の確保をするよう要請がありました。
要請内容は離職防止や現場復帰、人員の配置転換などです。医療人材の負担軽減のために、派遣費用などを新型コロナ緊急包括支援事業で補助・助成する制度も定めています。