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派遣の抵触日とは?
概要や派遣社員の仕事はどうなるのか、企業の対応も解説

2023年12月12日
 
コールセンターとは
 

派遣の抵触日とは、派遣期間の制限を過ぎた翌日のことです。派遣社員は同じ職場で3年以上働けないことが法律で定められています。この記事では、派遣社員として就業されている方や派遣社員を受け入れている企業担当者の方に向け、派遣の抵触日について解説しています。抵触日を迎えた派遣社員の仕事の選択肢や、抵触日を迎えるときの派遣先企業の対応についても解説しています。ぜひ参考にしてください。

目次


派遣の抵触日とは?

 
派遣社員は、3年を超えて同じ職場で働き続けられません。ここでは、概要や設定された理由などを解説します。
 

概要

抵触日とは、派遣期間の制限を過ぎた最初の日のことです。2015年に改正された労働者派遣法により、派遣社員は同一事業所で3年を超えて働くことを禁じると定められています。最長3年と定められていることから、3年ルールと呼ばれます。たとえば2023年1月1日に働き始めた方の場合、抵触日は2026年1月1日になります。
 

設定された理由

抵触日はなぜ設けられたのでしょうか。派遣という働き方は法律で臨時的・一時的な働き方として位置付けられるためです。正社員よりも不利な働き方を是正するために抵触日が設けられました。抵触日を迎えると派遣先の会社は、派遣社員に直接雇用を申し出るといった対応が必要です。派遣社員は抵触日をきっかけに、正社員になるチャンスやキャリアアップを検討する機会を得られます。
 

対象外となる場合

条件によっては、派遣期間の制限を受けない場合があります。対象外となる方は以下のとおりです。
 
・派遣会社に無期雇用されている方
・60歳以上の方
 
また、対象外となる業務は以下のとおりです。
 
・産前産後休業や育児・介護休業を取得する労働者の代替業務
・日数限定業務
・あらかじめ終期が決まっている有期プロジェクト業務
  

抵触日は2種類ある

 

個人単位の抵触日

1人の派遣社員が、同じ事業所のひとつの組織単位で働ける期間を最長3年と定めたものです。組織単位とは、部署・課・グループを指し、会社のことではありません。同じ派遣先の会社でも別の部署に異動すれば、3年ルールに当てはまらなくなります。たとえば同じ会社で経理部から人事部に異動した場合、再カウントが始まります。
 

事業所単位の抵触日

ひとつの事業所で派遣社員を雇用し続けられる期間を最長3年と定めたものです。たとえばAさんが2年で辞めた場合、次に来たBさんは残り1年しか働けません。ただし派遣先の会社が、継続して派遣社員を受け入れたい場合は、手続きをふめば3年経過後も延長可能です。
  

抵触日を迎えると派遣社員はどうなる?

 
就業開始から3年経過後にどうなってしまうのか、不安に感じる方もいるでしょう。ここでは4つの可能性を解説します。
 

直接雇用の提案を受ける

実績や働きぶりが評価されれば、派遣先企業から直接雇用の提案を受けるケースがあります。派遣先から見れば、新たに従業員を迎えるよりも、そのまま雇用するほうがメリットといえます。ただし雇用形態は正社員だけではなく、アルバイトや契約社員として提案があるケースもあるため、契約条件が希望に合うものかどうか必ず確認しましょう。
 

同じ派遣先の会社内で異動する

他部署や別のグループに異動すれば、再び3年間就業することができます。同じ派遣先で就業できるので、慣れた環境で継続して働けることはメリットですが、業務内容が大きく変わる可能性がある点には注意をしなければなりません。これまで積み重ねた経験やスキルが活かせるかどうかの確認をしましょう。
 

別の派遣先に勤める

同じ職種や業務内容を希望する場合は、同じような仕事ができる別の派遣先企業を紹介してもらい、新天地で働く方法もあります。これまでに培ったスキルや経験を活かしながら、別の派遣先でキャリアを積むことが可能です。職場が変わることにはなりますが、キャリア重視の方におすすめします。
 

派遣会社と無期雇用契約を結ぶ

派遣会社と無期雇用契約を結ぶと、3年という期間に縛られずに同じ派遣先企業で働くことができます。派遣会社での雇用期間が通算5年以上であれば、無期雇用の申し込みができます。無期雇用契約社員となることで、派遣先での業務が終了しても派遣会社との契約は維持され、収入やキャリアが途絶えるリスクがなくなる点がメリットです。
 

抵触日を迎えるときの企業側の対応

 
労働者派遣法により、派遣先の会社では対応が義務づけられています。ここでは3つの対応について解説します。
 

派遣会社に通知をする

事業所の抵触日は、派遣先企業から派遣会社に通知が必要です。派遣期間の制限を超えると法律違反になるため、予防対策として行われます。通知方法は書面やメールです。内容は事業所名、事業所の所在地、事業所の抵触日を記載すればフォーマットに決まりはありません。
 

派遣期間を延長する場合は意見聴取手続をする

事業所単位で引き続き派遣社員を受け入れたい場合は、契約期間終了の1ヶ月前までに、事業所の過半数を代表する労働組合から意見聴衆を行うことで、派遣受入期間を延長することができます。労働組合がない場合は、事業所の労働者の過半数を代表する労働者に意見を聴取します。期間の延長には限度が設けられていないため、手続きを繰り返せば何度も派遣社員を雇用できます。
 

同じ派遣社員を受け入れたい場合は直接雇用を申し込む

今後も同じ派遣社員の就業を希望する場合は、直接雇用を申し込みましょう。派遣社員としてではなく、自社の社員として活躍してもらえます。直接雇用は正社員、契約社員、パート社員といった雇用形態を提案できます。本人の働き方の希望を確認したうえで、両者合意のもと契約を結びましょう。
 

よくある質問

 
いつまで働けるのかを知る方法や、同じ会社で働けるかといった疑問をもった方もいるでしょう。ここではよくある質問を解説します。
 

派遣社員に通知はありますか?

抵触日は派遣先企業から派遣会社に対して、派遣会社は派遣社員に対して事前に知らせる義務が発生するため、派遣社員には派遣会社から通知があります。一般的には「就業条件明示書」に抵触日が記載されているため、書類でいつでも確認することができます。不明点があれば派遣会社に問い合わせましょう。
 

クーリング期間を経て同じ派遣先の会社で働けますか?

クーリング期間とは、契約満了の派遣社員が、派遣されていない状態で3ヶ月と1日以上経過すれば、同じ派遣先で働けるリセット期間です。クーリング期間を経て、再び同じ派遣先企業で働くことは可能です。ただしキャリアアップの観点からは望ましくないとして、法律上は推奨されていません。
 

労働者派遣法の基礎知識

 
抵触日の理解には、1986年に施行された派遣社員について定められた労働者派遣法を知っておく必要があります。2015年に改正された労働者派遣法の3つのポイントを中心に解説します。
 

労働者派遣事業が許可制に変更

適切な労働者派遣事業が遂行されるように、要件を満たす事業所のみに許可を出す方式に変更されました。以前は許可制と届出制に分かれており、許可要件を満たさずに派遣事業を行う事業者が存在していた背景があります。これにより申請しない事業者は、労働者派遣事業ができなくなりました。
 

キャリアアップ・教育訓練の実施

派遣社員のキャリア形成のための措置が義務付けられました。派遣会社は、教育訓練の実施、キャリアコンサルティング窓口や相談窓口の設置といった、キャリアアップのための体制を整えることが必要です。正社員に比べて、職業能力形成の機会が乏しい背景をもとに講じられました。
 

派遣期間制限が原則上限3年に変更

改正前は、専門的な知識やスキルが必要な26業種には雇用期間の定めがなく、そのほかの業務には最長3年の期間制限が設定されていました。しかし業種に該当するかの判断が難しく、現場の混乱を招いたため、抵触日を設け、すべての派遣社員の受け入れを3年間に限定しました。
 

まとめ

 
派遣の抵触日とは、派遣契約が満了した翌日のことです。派遣期間は最長で3年と定められているため、3年を超えて同じ職場で同じ業務に携わることはできません。抵触日を迎えた派遣社員は、派遣先企業から直接雇用の提案を受ける、同じ派遣先企業で部署異動をする、別の派遣会社で就業する、現派遣会社と無期雇用契約を結ぶ、といったキャリアアップのチャンスがあります。自身が希望する働き方やキャリアが叶えられるかをよく考えて、選択しましょう。
 
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